WebGLは3Dグラフィックスのレンダリングに広く使われており、その中核には数学の行列計算があります。行列を使うことで、オブジェクトの変換(位置、回転、スケーリング)を効率的に行うことができます。今回は、WebGLで使える行列の基本的な考え方を丁寧に説明します。
行列の基本概念
行列とは、数値を格子状に並べたもので、数値の配列を扱うための数学的な道具です。2Dおよび3Dグラフィックスでは、特に変換行列を使用します。変換行列は、頂点の位置を変換するために使われます。
行列の乗算
行列の乗算は、複数の変換を一度に行うために使用されます。例えば、あるオブジェクトを移動して回転させる場合、平行移動行列と回転行列を掛け合わせることができます。行列の乗算は次のように行われます:
C=A×B
これは、行列 AAA と行列 BBB を掛け合わせて行列 CCC を得ることを意味します。
WebGLでの実装
WebGLで行列を使用する場合、通常はJavaScriptのライブラリを使って行列の計算を行います。例えば、gl-matrix
はそのようなライブラリの一つです。以下は、gl-matrix
を使って基本的な変換を行う例です。
// gl-matrixをインポート
import { mat4 } from 'gl-matrix';
// 単位行列を作成
const modelMatrix = mat4.create();
// 平行移動
mat4.translate(modelMatrix, modelMatrix, [tx, ty, tz]);
// 回転
mat4.rotateX(modelMatrix, modelMatrix, angleX);
mat4.rotateY(modelMatrix, modelMatrix, angleY);
mat4.rotateZ(modelMatrix, modelMatrix, angleZ);
// スケーリング
mat4.scale(modelMatrix, modelMatrix, [sx, sy, sz]);
// WebGLに行列を送信
const uModelMatrix = gl.getUniformLocation(program, 'uModelMatrix');
gl.uniformMatrix4fv(uModelMatrix, false, modelMatrix);
結論
WebGLでの行列の理解は、3Dグラフィックスのレンダリングを効果的に行うために不可欠です。行列を使用することで、オブジェクトの位置、回転、スケーリングを効率的に制御でき、複雑なシーンを簡単に作成できます。行列の基本概念と、それを使った変換の方法をしっかりと理解することで、WebGLを使った3Dグラフィックスの制作がよりスムーズになります。